「新たな不当課税未遂事件」発生

不当課税未遂事件

札幌国税局管内の複数の税務署や国税局の税務調査において、複数の事業者(法人)に対して「不当な課税を強行」しようとしていた事例が発生していることについて、昨年度以来、繰り返し紹介してきたところです。

昨年度に発生した不当課税事件につきましては、令和6年4月現在、

〇 国家賠償請求・・・札幌地方裁判所にて2件係争中

 (①FAREASTEATING株式会社事案、②北祥株式会社事案)

〇 不服審査請求・・・札幌国税不服審判所にて2件審査中

 (①FAREASTEATING株式会社事案、②誠トレーディング有限会社(北祥グループ会社)事案)

となっています。

これらの事案の続報につきましては、順次紹介していきます。

「新たな不当課税未遂事件」発生

令和5年11月の某日、札幌市内のベテランの税理士先生から、当社札幌支店へ1本の電話が入りました。

早速、相談に乗らせていただいたところ、国賠請求事案と同じ札幌中税務署の、同じ法人担当統括官部門の調査において、「外注費について、強引に寄付金課税処理されそうになっている。」とのことでした。

札幌中税務署の調査担当職員は、調査対象法人A社から外注先B社に対して支払った外注費について、A社の代表者と関与税理士が取引の実態を示す資料を多数提出して適正な外注費である旨を説明しても全く耳を貸さなかったようです。税務署側の判断により、「外注先B社に対する贈与・寄付金について外注費に仮装した」こととして課税処理し、重加算税の対象としようと企て、調査を進めていました。

札幌中税務署の調査担当職員は、この目的を達するために、外注先B社の反面調査において、B社の代表者に対して、税務署の意に沿った回答となるよう、“利益誘導的”“脅迫的”な質問調査を行った上で、半ば監禁状態にして質問応答記録書に署名を強要していました。

署名撤回の「申述書」・札幌国税局長あて「上申書」の提出

B社の代表者の協力を得て、札幌中税務署長に対する「申述書」を提出して、同署の調査担当職員から受けた質問調査の状況を説明するとともに、強引に署名させられた質問応答記録書の署名を撤回していただくこととしました。

さらに、札幌国税局長に対して、令和5年12月4日付けで「不適切な調査手法に関する事実確認及び該当職員に対する指導徹底を求める上申書」を当社の名前で提出しました。

申述書

上申書

申告是認としてA社の税務調査終了

令和6年3月末日、A社に対して、調査を終了して申告を是認する旨の「更正決定等をすべきと認められない旨の通知」が送付され、無事に調査は終了、札幌中税務署法人担当統括官部門の企てた「不当課税」は未遂に終わりました。

しかし、調査終了時において、札幌中税務署から、未遂に終わったとは言え「不当課税」を実行しようとしていたことに関する釈明や謝罪、該当職員に関する指導や懲戒処分等の状況の説明は一切ありませんでした。

刑法156条:虚偽公文書作成罪に該当?

質問応答書の内容に、虚偽の事実の回答を記載したり、応答者の意に反する回答を記載し、応答者に署名を強要した場合、その質問応答記録書は、虚偽公文書にあたり、作成した職員は、虚偽公文書作成罪(刑法156条、155条1項)及び同行使罪(刑法158条1項、156条)に該当する可能性があります。

札幌国税局の一連の不当課税事件において、問題のある質問応答記録書が多数作成され、不当課税の証拠として活用されています。

税理士法人Impactとしては今後、目に余るケースについては厳しく追及してまいります。