札幌支店の開設からもうすぐ1年、様々な人に出会い、たくさんの相談をいただきました。北海道には、豊かな自然とともに、そこで育まれた心優しい人々が、事業を行い生活されていました。
私は、北海道の魅力は、豊かな自然とおいしい食べ物とともに、この土地の心優しい人々の温かさにあると思っています。
この愛すべき北海道で、信じられないことが起こっています。
不当な課税を強行する国税局
北海道内の複数の税務署や国税局の税務調査において、複数の事業者(法人)に対して「不当な課税を強行」しようとしていた事例が、短い期間の間に多数発生していました。
「不当な課税を強行」とは、具体的に言うと、①事実のねつ造、②証拠書類の隠蔽、③脅迫的な質問調査や誘導尋問の実施、④反論しない税理士との不適切な談合等により、本来であれば課せられない不当な税金を税務当局が事業者に対して課税しようとしていたものです。
いずれの事例も、税務調査終了の間際、最終の調査結果説明が行われ、税務当局の指示に従い修正申告を提出する直前というギリギリのタイミングで、当法人(税理士法人Impact)に相談があり、「不当な課税」であることを直ちに指摘して、修正申告の提出をストップし、処理の内容を全面的に見直すことができたものです。
見直した結果、ある事案では、1,000万円以上の売上除外による重加算税対象の課税額について事実無根で0円(申告是認)になるという前代未聞の事態となりました。
また、ある事案では、1億円を超える売上除外による資金の使途の処理が明らかに間違っている等、税務署の調査結果が伝達された後であるにもかかわらず、通常では考えられない処理内容の全面的な見直しとなりました。
なぜ不当課税の強行が起きたのか
元々関与していた税理士や税理士法人は、この税務当局の「不当な課税」の指示に対して、特に反論することなく受け入れ、言われるがままに修正申告を作成していました。
一般的なケースにおいて、事業者の唯一の味方は関与税理士であり、中立な立場で公正に税務当局に意見を述べる必要があります。しかし、個々の理由はわかりませんが、税務当局の言いなりになっていた状況でした。
当然のことですが、法治国家の日本ですから、税務当局の裁量で自由に税務調査やその後の課税が許されるものではありません。国税庁は、全国的なルールとして「署課税部門における争点整理表の作成及び調査審理に関する協議・上申等に係る事務処理手続について」を定め、十分な証拠の収集等に基づく事実認定と法令の適用の更なる適格化を図ることとして、全国の税務署・国税局はこのルールに従って事務を進めることとなっています。
それではなぜ、名古屋や東京では見たことがない、あり得ないような税務調査の進め方と「不当な課税を強行」しようとする事案が発生したのでしょうか?
北海道の心優しい事業者の皆さまが、その気質から争いを好まず、強く反論できないのをよいことに、まるで弱いものイジメするかのごとく札幌国税局が権限を濫用して「不当な課税を強行」しているとしたら、決して許されるものではありません。
もしかしたら、悔しい思いをしながら仕方なく理不尽な課税に応じるしかなかった事業者の皆さまが、北海道には、ほかにも多数いるかもしれません。
丁寧な説明と謝罪を要請
当法人としては、今回把握した札幌国税局管内の「不当課税未遂事件」について、単なる判断ミスや処理誤りでは済まされない重大な事件・不祥事と考え、令和5年4月27日付で、札幌国税局長に対して「不適切な調査事務処理事案についての上申書」を証拠書類の一部とともに提出し、事実関係の調査と原因の解明を行った上で、当該納税者本人に対する説明と正式な謝罪を要請しました。(別添参照)
しかし、1か月あまり経過しましたが、本日(5月30日)の時点で、札幌国税局から説明や謝罪は無く、当法人が提出した上申書に対して組織として誠実に対応している様子には見えません。
当法人は、代表である私をはじめ、所属する税理士4人全員が国税のOBであり、国税組織に育てていただいたことに感謝と誇りを持っています。
国税OBの我々だからこそ、あえて声を上げて、今回の「不当課税未遂事件」について、世の中に事実を公表していくことにしました。
今後、当法人のホームページの中で、個別事案の詳細を紹介するとともに、税務当局の対応状況をお伝えしていきます。また、様々な方法により世論に問いかけていきたいと思っています。
今後北海道で、今回の事件と同様の「不当な課税を強行」しようとする税務調査が二度と起こらないように願い、札幌国税局に対しては、非があれば非を認めて、きちんと謝罪し、反省を基に原因を解明して、再発防止に努めていただきたいと強く思います。
税理士法人Impact
代表税理士 大箸 直彦